寂しいよ。
午前中どうしても外せない仕事があり、
仕事してからの火葬。
火葬の前にこゆたんを抱きしめる。
身体は冷たいけれど、
肉球はそのまんま。
ああ、身体のわりに大きくて
そしてやわらかい。
こゆたんのあんよだなぁ、
ぼんやりそんなことを考える。
抱きしめたこゆたんは
頭が重くて
しっかり支えてあげないと
首の座らない子供のよう。
寝てるみたいに穏やかなお顔。
火葬の前に目を覚ますかもしれない、
まだ生きてるかもしれないのに
焼いてしまっては大変だ。
そんな気がして
身体に耳をあてる。
でも、
こゆたんの身体は
時を刻んでいなかった。
わかってるけど、
理解できない。
わかってるけど、
そうしないと私の手から
離せなかったんだ。
ねぇこゆたん、
今は苦しみから解放された?
美味しいごはん食べられるの?
あれもこれも
ガツガツ笑顔で食べられる?
そうならいいな、
その方がこゆきらしいよ。
火葬前の激しい雨は
火葬の頃にはほとんど止んで
火葬が終わった頃には
きれいな青空がみえたよ。
イチョウの葉も
黄色くなっていたんだなぁ。
紅葉にも気がつかなかったよ。
季節も秋から冬へ変化していたんだね。
兄ちゃんが帰宅しても
こゆたんの高感度センサー
『わおおおおぉぉぉぉぉーん!』が
響かない家。
兄ちゃんも少し寂しそう。
夕方帰宅した兄ちゃん
普段ならすぐ部屋に行ってしまう事の方が多いけど、
今日はしばらくリビングでくつろいでいたのは
こゆたんのことと
母さんを心配してのことかもしれない。
寂しいよ、こゆたん。
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